《MUMEI》

雅人さんの家に行ったんだ
…………そっか…

イズミが、そう、呟いた…
車を降りるイズミ…

俺も車を降り、エントランスに向かったんだ…

上がってと言う、優香に、断った俺…
…雅人さん家の玄関で

…迷惑かけてすみません…
雅人さんに、そう、挨拶したんだ

…何があっても、4人で責任を分け合うんだよな?

雅人さんが聞いたんだ

………どうなるか、わかりませんけど
イズミを連れて帰ります

………うん…冷静に…話し合ってくれよな…

…はい…

頭を下げ、雅人さん家を、あとにしたんだ

イズミが後ろを付いて来てた…

帰宅したとき、イズミは

…許せない?…あんなガキに、身体触られて…

そう、聞いたんだ

……ヤられる覚悟もしてたんだろ?

………アイツらが、ヤリ目なのは、わかったよ…
……でも、ほっとけなかったの…

…………何で?

…私がアサミを好きだから…

…そっか…
…俺は好きになれないな…あの女…

………今は……でしょ?

…………琢磨…言い訳だけどね…
まさか…薬盛られるとは、思ってなかった…

意識は途切れ途切れだけど…下着の中に、手は突っ込まれたけど…

……逃げて来たよ…
貴方の元に、帰りたかったから…

…………イズミがやりたくて、やったなら…文句は…
ヤりたくないよ!
あんな奴らなんかと!
触られたのだって悔しいよ!
……琢磨に…あんなこと言ってた……
……琢磨が不愉快なの、わかってる!!…

…………でも、ほっとけなかったんだ?

………………うん…

…疲れたよ………寝よう…
…………隣にイズミが寝てた…
指も、触れてない…

………イズミが泣いてるのが、わかったけど…

……………何も、言葉すら……俺は…

…………イズミが起き上がった…
…静かに部屋を出ようとしてた…

…また、死ぬ気?

…………わかんない…

一緒に死のうか?

…………琢磨…
……泣いてるの?…琢磨…
……………こんなに…悔しいのは…初めてだよ…

…何でかわかんねーよ…………楽に…なりたいよ…

…琢磨………

………楽に……してよ………

……………

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