《MUMEI》
あれ?
コーヒーのなんとも言えない良い匂いで目覚めると、そりゃもう快晴で陽射しが気持ち良い。

う〜んと伸びてベッドから降りると、遠くから洗濯機が回る音がする。


そしてパンが香ばしく焼ける匂いもしてきて、キッチンに立つ裕斗が目に入った。



「おはよう」


「おはよう」


「新聞テーブルにあるよ」


「おっ、有難う」


新聞はいつも当然の様に自分で取りに行ってたから。
たまにやってもらえるとなんか嬉しいもんだなって。


俺は新聞を掴みトイレに直行。
朝のお勤めに新聞は絶対付き物だ。

快調に捻り出すついでに世間の事まで頭に入る。

知識を入れていらないモンを出す。

子供の頃パパがトイレで新聞を読む気持ちが今ではよく理解出来る。ああ…俺もすっかり大人の男だ。




お悔やみ欄見ながら今日は若い奴がいなくてよかったとか、いつも見ている人生相談読んで勝手に心の中でアドバイスした後俺はトイレを出た。






「は〜…」


ガサガサと新聞を廊下の新聞入れに突っ込んで、スエットに手え突っ込んでちょっと痒い腹をボリボリかく。

テーブルを見ると、なかなか上手に美味そうに焼けたスクランブルエッグに、細かく深く切れ目を入れてカリカリに焼いたウインナー。

焦げ茶色に焼けた薄切りトーストに、既にギトギトに染み込んでるマーガリン。

中ジョッキに並々入った牛乳。



「ウオ〜ッ!俺の理想の朝食ちゃんっ!裕斗ありがとうなっ!」

「うん」


キッチンでフライパンを洗いながら裕斗はニッコリ微笑んだ。


裕斗の奴、今日は朝から髪型もきまっていて服装もびしっとしてる。


「あれ?今日から仕事か?」


トーストにかじりつきながら尋ねる。


「ん〜ん、明日から、オフは今日まで」
「そっかそっか」


すると洗濯機が終了を告げる音がして裕斗は真っ直ぐに脱衣所に向かった。


そして籠に洗濯物を詰め込んだ裕斗が直ぐに現れ、ベランダに消えた。


「ん〜?」



たまには珍しい事もあるんだな。



「午後から雨か?」

俺は一気に牛乳を飲み干した。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫