《MUMEI》
延長
「こんにちは、今度もよろしくお願いします」

山本はこの収容所の館長、安川治に挨拶した。

「遠いところお疲れ様です。こちらにお掛け下さい」

私達は館長室のソファーに腰を下ろした。

「今回の事件はあれですな〜う〜ん、まぁ特別な事件だったですねぇ。

で、山本さんはどうして調査を3日間から7日間に延ばしたんです?」



そう、このことは大きな波紋を呼んでいた。
アールは心理学会にとても献身的である。

黙秘したりすることはない。

一人目のベテランの時に全てを話し、二人目の時は同じことをなぞるだけ。

だったはず。


延長するということは、今までと違った話しが出てくるはずだ、という意味に他ならない。

長老連中は若造がでしゃばりやがって、と憤慨していた。


山本は一匹狼だというのが一般的な見解だった。
私はそうは思わない。
山本の力を嫉妬した人達のただの戯れ事に過ぎない。

山本はどちらかというと………なんだろ、うーん動物で例えると………そうだ。
牛だ。


別にお腹が少し出ているからそう悪口を言ってるわけではない。

仕事に対してだ。
何度も読んだ資料を、その後何回も何回も読み直す様子は、一度食べた草をまた口に戻して食べる牛そのものだった。

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