《MUMEI》
気持ち
                

「一花〜」


ん…?


「一花さーん?」


なんだこの固い感じ…


「ん…?」

目を開けると目の前には

巧斗が。


「ぎゃあぁああ!!!」


なんで抱きついてんだ俺ぇ!!

つーか朝!?

あのまま寝ちまったのか!!


「なんか寝言言ってたぞ?」

「…なんて?」

「『ホーネット』って」


ドキッ…


ホーネットって…


街中で大ケンカしてピンチな時に

助けてくれた憧れの人――…


「ケンカでかなり不利な状況な時…
助けてくれた憧れの人…」


「―…ふーん…」


バンッ!

「坊っちゃん!!」


げっ!!

登米婆が来た!!


「どうした?」

「昨日はディナーをお食べにならずに就寝されたとかで…」


俺の体勢…なんだこりゃ。

巧斗に布団の中で

抱き締められてねぇか!?


「後で食べに行くから下がってくれ」

「かしこまりました。」


言われると登米婆は部屋を出て行った。


「ほら一花も着替えて飯食いに行くぞ」

「おぅ。」

一旦部屋に戻って制服を来て部屋を出た。



デカ過ぎるリビングに行くと巧斗がすでに座ってた。


……あれ?


「巧斗…眼鏡は?」


巧斗はいつものダサ眼鏡をかけずに

黒髪でストレートな長めの前髪を

斜めにピンで止めていた。


「あー、あれ邪魔なんだよな。
伊達だし。」


「伊達だったのか…。
でもなんで急にしなくなったんだよ?」


そんなんで学校行ったら

モテちまうだろーが!!!



「女避けの為にわざとかけてたけど、かけると視界狭くなるだろ?」



そうだろーけど…

その顔が女子共にさらされたら…

は?

別にコイツの顔が見られようが

モテようがどーでも良いハズ

なのに…何イラついてんだよ…?


「…そーだな。転ぶよりはマシだろ」


言いながら飯を食った。



俺…強がってんだな……

さすがに自分の感情くらいわかる。


心が…好きって言ってる。


俺は…

私は…巧斗が好き ――…。

                

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