《MUMEI》 作戦会議 2最初にファミレスにやって来たのは、映画監督の丹危雷音だ。短気ライオンと言われて恐れられている。 屈強な巨漢が堂々と店に入ってくる。半袖シャツにジーパンと服装は普通だが、金髪に近い長髪は、ほとんどライオンのたてがみのようだ。 丹危雷音は窓際の席にすわった。すぐにウエートレスがお冷を持って来た。 「いらっしゃいませ」 丹危雷音はメニューを見ている。 「ご注文がお決まりになりましたら・・・」 「サーロインステーキと大ライスとコーラ」 「ご注文を確認・・・」 「しなくていい」 「あ、はい。メニューをお下げしても・・・」 「ダメだ」 「あ、はい。少々お待ちください」 ウエートレスが去ると、丹危雷音よりもさらに大きい、漫画家の激村創が登場した。黒いTシャツにジーパンに山靴のようなシューズ。見事にビルドアップされた肉体。伸ばし放題のカーリーヘアに髭も猛々しい。 見上げるような巨漢に、日本人離れした風貌。客や店員も思わず見入った。 「久しぶりだな、短ライ」 「おお」 激村創は、短ライの向かいに腰を下ろした。 「火剣は元気か?」短ライが聞く。 「相変わらずだ」 ウエートレスがお冷を持って来た。 「いらっしゃいませ」 「あと二人来る」 「はい」 ウエートレスが去る。激村がメニューを見ていると、短ライは言った。 「俺はもう頼んだぞ」 「早いな」 「みんながおせんだ」 タクシーを下りると、賢吾は美紀に言った。 「これから会う男たちはな。ワイとちごうて性格は珍しいんやけど、気持ちは優しいから大丈夫や」 「ちごうてって?」 「誰がディックスレーターや」 「知りませーん」 「知らんのか。喧嘩番長ディックスレーターやないか」 賢吾が先に店に入る。美紀は緊張した顔で後からついていく。 「お、いたいた」 賢吾が窓際の席に行く。プロレスラーのような大男が二人いるのを見て、美紀は緊張感が増した。 「紹介しよう」 「まずすわれ」短ライが言った。 「えーと、どないすわろうか」 賢吾がそう言うと激村が気を利かせて立ち上がる。それを見て短ライも立った。美紀は激村を見上げた。 (大きい・・・) 賢吾が窓際にすわり、隣に美紀がすわった。向かいには激村が窓際で短ライが隣に腰をかけた。 ウエートレスがお冷を二つ持って来る。 「いらっしゃいませ」 「サーロインステーキはまだか?」短ライが睨む。 「すいません少々お待ちください」 「やる気ねえな」 「はい?」 「何でもない」激村が言った。「オレは・・・オレもサーロインステーキと大ライス、ほうれん草ソテー」 「お飲み物は?」 「アイスティーを」 「ありがとうございます」 賢吾と美紀もステーキにした。美紀だけ普通ライスだ。 前へ |次へ |
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