《MUMEI》

私は和輝の手を振り払い、必死で逃げた。この時の私、どんな顔をしていたのだろう・・・。

私のファーストキスは和輝とか・・・。悠斗とすらまだキスしていなかったのに・・・。

どんな顔して悠斗に逢えばいい?

今日逢う約束してるのに・・・。

とりあえず悠斗にはメールしようと思った。

その時、「リィ?」

悠斗の声がした。

こんな顔、悠斗に見られたくない・・・。

悠斗が逃げようとする私の腕をつかみ

抱き寄せた。

理由も聞かずに優しく、どこか強く抱きしめてくれる。

そんな悠斗が好き。

ありがとうと心の中で叫びました。

「リィ、大丈夫?リィが話したくなかったら無理に話さなくていいから。でも俺の傍から離れないでほしい。」

「悠斗・・・ありがとう。大好きだよ。」

静かにキスをした。

初めての、悠斗と初めてのキス。

私の涙のせいで少し苦かった。

でも優しくて、そこには確かに愛があって、温かかった。

本当のファーストキスだった。

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