《MUMEI》

…雅人さんと、電話が繋がった
女医さんが、俺に電話を渡したんだ

…琢磨…その先生は、大丈夫だ…俺側の身内だよ…
…何があった?
誰が怪我をしたんだ?

琢磨さんに聞かれ、かいつまんで、話したんだ

…琢磨…直ぐ日本に帰る
雄大は…中立だったんだが…奴の尻にも火がついたんだ…

…雄大は、こっちのマフィアと繋がってた…
…アジアの女を、売ってやがったんだ…
…詳しくは帰ってから話す
いいか、俺が帰国するまで動くなよ!

琢磨さん、そう話したんだ
先生に、電話を返した

…なんか冴えない子ね、貴方が言うほどの子には見えないわよ…

…ふ〜ん……そうなの?
で、帰国はいつ?

女医さんが、雅人さんと話してた

そのとき、俺の携帯電話が鳴ったんだ…

マナミさんからだった

琢磨君!、ミキとミオちゃんが連れ拐われたの!…

なんだって?!
…直ぐ行きます!マナミさん、落ち着いてね!

そう言って、電話を切り

先生、マサエさんを、よろしくお願いします

深々と頭を下げ、部屋を飛び出したんだ

琢磨、待ちなさい!

先生の声がしてた…

………

ミキ…ミオを連れ、病院に行ったんだ…
…その帰りに…

…ミキが運転してた車は、フロントがペシャコになってた…

…警察では、ミキが当て逃げして、逃亡したと、なってた…

マナミさんがどんなに、誘拐されたと話しても…ムダだったんだ…

俺、弁護士さんに来てもらったんだ…

ミキが運転してた車は、マナミさんの名義だ…
…俺、ドライブコンピューターを搭載してあったんだ……何かのためにって…

その、映像を、弁護士さんに、警察署に提出してもらった…

後ろからクラクションを鳴らされ、前の車が急ブレーキ……
当たり屋だ…

おい!これでも犯罪に巻き込まれて無いって言うのか?!

俺、声を荒たげた

弁護士さんが、落ち着いてと、俺に言ったけど

…ゴチャゴチャ言う警官たちに

お前ら!また、戸籍ごと消し去る気か?!

怒鳴ったんだ

…彼は、佐伯通商の、大株主でもあるんです
…マスコミが、また、騒ぎますよ

弁護士さんが、そう言うと、警官たちの態度が一変したんだ…

当たり屋の、ナンバープレートは、映像からわかる…
だけど…詳細は教えてもらえない…

…何が警察だ…役たたずが……

弁護士さんに、お礼はしたけど…
…腹の中では、警察は、あてにしない…
…そう、決めてたんだ

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