《MUMEI》
次の一手 5
前回の飲み会では火剣が爆走したためにミーティングはできず、ほとんどただの飲み会になってしまった。そのために日を改めて、今度は白茶熊賢吾の家で作戦会議を開いた。

夜。賢吾の家のリビングには、激村創と短ライ。そして美紀と紗希も来ていた。れおんがウーロン茶やジュースを運ぶのを、紗希と美紀は手伝った。

「女優にそんなことまでさせて悪いな」賢吾が笑う。

「いえいえ」

「美紀さんとれおんさんも悪い」激村が言った。

「そんなこと」

「お気遣いなく」

美紀とれおんも笑顔で飲み物を運んだ。

短ライが意見を述べる。

「基本的にギャンブルや風俗で金がなくなったという人間はダメなんだろ。でもそういう人間は多いんじゃないのか?」

「実は事務局長の仲矢真次さんは競馬が好きなんや。競馬やパチンコやる人は、お金が入るとこれを10倍にしようゆう発想になるから危ないんや」

「なるほど」美紀が言った。

「風俗やホストに夢中になったら、もう金がいくらあっても足りん。100万円なんかひと晩で消えるからな」

激村が口を開く。

「で、どうするんだ?」

「基本的には全員助けるよ。せやけど、ギャンブルも風俗も中毒やからな。やめなさいゆうて、やめれるならとっくにやめてるよ」

「難しいか」激村が深刻な顔をする。

「借金地獄で首が回らんゆう場合は、外科医・・・強豪大兵に動いてもらう。借金はゼロにすることが大事や。今は借金がゼロでも税金と家賃と光熱費で十分苦しい生活を余儀なくされるからな。飲食代に保険料だ、NHKだ、市県民税だと出ていくもんばっかりやから、給料が低いと辛いねん。借金ゼロでも辛いんやから、借金なんかあったら、毎月不安と恐怖にさいなまれてストレス溜まって病気になってしまうわ」

れおんが聞いた。

「借金地獄で返済額が大金な人と、ギャンブルや風俗やホストにハマっている人は、やっぱり夢のクリニックのほうに繋ぎますか?」

「いや、事務局のほうでええやろ。聞くところによると、仲矢さんと柄田さんの応対は天才的ゆう話やぞ」

「そうなんですか」美紀が喜ぶ。

「優しく包み込むように励まして、プロのカウンセラー顔負けの応対らしいわ。最初沈んだ顔で来る人が、帰るときは明るい笑顔になっているとゆう」

「良かったですね、人選が正しかったんですよ」れおんも笑みを浮かべた。

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