《MUMEI》

……イズミの口を、手で拭った…
真っ赤な血が…ついてたから…

…………た………くま…

そうだよ……俺だよ…

……た………く…ま…

イズミは、意識が変だったけど…
…俺の名前を、何度も呼んでたんだ…

…もうひとりの黒人が、突っ込んで来た

俺の首を、物凄い力で締め付けて来やがったんだ!

……その、黒人が、急に力を無くし
俺に体重を預けて来た…

…黒人を、横に転がしたんだ

…目が虚ろのイズミが…
スタンガンを持ってた…

万が一に備え、各部屋に、何かしら武器を用意してあるのを…イズミなら知ってる…

…たく……ま…
…………たく……ま…

イズミは、俺の名を、繰り返し、呼んでるんだ

…イズミ…助かったよ、ありがとう…

そう、イズミに話し掛けると、イズミ、微笑んだんだ
……雄大の後ろに、男がひとり、隠れた…

……やるねぇ、坊や…

そう言った瞬間
雄大が、突進して来たんだ
早い!

……俺の拳が受け流された…
身体が宙を舞う…

…知ってるよ…優香が使う技だ…

宙を舞わされながら
雄大の目を狙った…

…受け身なんか、取れるはずもなく
テーブルの上に落ちたんだ……

バキッと音が聞こえた…
…たぶん…あばら骨だ…

…構わず身体を起こし、イズミの前に立ちはだかったんだ

…そんなに、その汚れ女が大事か?
見ろ…マ○コから精子垂れ流してるぜ…

雄大が言った

俺は、雄大の首を見てた…
ちっ…動揺もしやがらねー…国内じゃ…殺しは初だな…

雄大、そう言ってた

……雄大が来た

わかりやすいバカだ…こいつ

思った通り、俺の肋を狙って来やがった

折れたのは、雄大もわかったんだろうさ…

狙われる場所がわかれば……

ぐうっ………
…急に息が…

…肺に…刺さったんだ…

……くそガキがぁ!
…てめえ…死ぬ気か……

雄大が吠えた…

雄大の目には、ボールペンが刺さってたんだ…

イズミの、ヴィトンのボールペンが……
…さっき、テーブルの上に落とされたとき…ひろったんだよ…

ちっ……

雄大が撤退した

ま、待って、雄大さん

うるせー!!

男が蹴り倒されてた

…仲間じゃない…利用されただけなんだ…こいつ…

……イ…ズミ…

イズミを抱き抱えた…

息が…苦しい…

……イズミ…目の焦点が会わない…

薬だ…薬のせいだ…

…早く…病院へ、連れてかなくちゃ…

ガン!

ぐぁっ……

頭に衝撃が…

…へへっ…そね女は…もらってくぜ…

…ちっ…ザコがひとり…残ってやがったんだよな…

…イズミの身体をまさぐってやがる…
…散々犯したんだろうに…まだ………

く…息が……

へへ…良い身体だぜ…
細いのに、こんなに乳が……たまんねぇや…
コイツさえ居れば、稼げる…薬漬けにして
働かせてやるぜ……
さぁ…来いよ、イズミ…

…ぐっ…イズミが…連れてかれる…

……くそったれぇ!!
動けよ、動け、酸素なんか無くても動け!!

…目が霞むなか
男を殴り倒したんだ

だけど…もう………

…イズミ……逃げて……

景色が斜めになりながら、イズミを見て…そう、願った…

…もう……何も出来ない…かも…知れない…な…

?……誰かに抱えられた気がした…

…琢磨…待たせちまったな
聞き覚えのある声…

デッカイ腕……

………そうか……帰って来たんだね…
………イズミを……お願いするよ……
………雅人………さん…

…………

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