《MUMEI》
妹の涙
                  
辛い

苦しい


だってそうでしょ…?

好きな人にあんな事言われたら

誰だって傷つくでしょ…?


瞳が

私を嫌いだって表してる。



教室に戻って机で泣きじゃくった。


「宇理…サボる…?」

「…ん、だい、じょぶ…」

沙奈が私に言う。

私は声がしゃくりあがってうまく話せない。



「また兄貴?」


「圭汰…」


私の前の向かい合う様に座った、

クラスメイトの藤崎圭汰(フジサキケイタ)。

圭汰は唯一、中学の頃から仲が良い男友達。

いつも助けてくれて、細かい事にも気付いてくれる。


「大丈夫か?保健室行くか?」

「…ん、行く…」


圭汰と保健室に行った。



保健室に入ると

消毒液の香りで包まれていた。


「氷で冷やすか。宇理こっち来い」

「…ん、ありが、と…」

圭汰に氷を渡され、目に当てた。


「にしても、よく泣くな?
最近お前、全く笑わねぇし…」

「……私だって、
泣き、たくて泣いてんじゃ、ないよ…」

しゃくりながら言う。


「…っ…あぁん…っはぁ」


「「……!!!?」」


いきなり聞こえてきた喘ぎ声に

私と圭汰は言葉を失う。


「…あぁん…イイ…陸斗ぉ……」


ドクン!!

「……ッ…」


"陸斗"

兄の名前を甘い声で呼ぶ女の人。

カーテンの向こう側のベッドでの
行為が想像出来る。


お兄ちゃんは…

いつもこんな事してたんだ……。

精神が砕けてしまいそうだった。


また涙が浮かび上がってきた。


グイッ


「きゃっ」


圭汰に突然腕を引っ張られて
保健室を出た。
                  

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