《MUMEI》

                  
教室に戻ると

机にはたくさんの紙袋があった。


「陸斗ぉ、手作りなの。食べてね?」

「私のもぉ〜」

「この大きいのが私のだからねぇ?」


………

お前らのなんかいらねぇんだよ。

帰ったら捨てよ。


「…ありがとなー」

一応クラスでは爽やか風キャラだし笑っておいた。


「陸斗、次移動だぞー?」

バスケ仲間の雄大(ユウダイ)が言う。

「おぅ。今行く」

言いながら教室を出た。



宇理の教室の前を通った。

「……」


宇理…泣いてたのか…?


目が赤く充血してる。


それを藤崎とやらが慰めてる。


「やっぱ付き合ってンのか…」

無償に苛立ちを隠せない。


「陸斗ぉ〜サボらない?」

「…」

名前も覚えてない女と保健室に向かった。




保健室で宇理の事を考えていると

「ねぇ陸斗ぉ、シよう?」

香水臭い女が俺の腕に
絡み付いてきた。


キモ。

触んなブス。

思っていると、いきなり入り口のドアが開いた。


「氷で冷やすか、宇理こっち来い」

「ん、ありが、と…」


宇理…!?

藤崎も一緒かよ…。


「にしても、よく泣くな?
最近お前、全く笑わねぇし…」


笑わない…?

宇理…

いつも泣いてんのか…?


「……私だって、
泣き、たくて泣いてんじゃ、ないよ…」


宇理は泣きすぎでか
声がしゃくりあがっていた。


……なんでそんな泣くんだよ?


全く笑えないほど


誰を想って泣いてんだよ…。

その男ムカつく…


「…っ…あぁん…っはぁ」


「「……!!!?」」


いきなり隣から聞こえてきた喘ぎ声に

唖然とする俺。


「…あぁん…イイ…陸斗ぉ……」


……は?

……なに1人でやってんの?

つーか俺の名前呼ぶなキモい。


今の、宇理に気づかれたか…?

俺は黙ってると


「きゃっ」


宇理の弱い声が聞こえてきたと同時にドアが勢い良く開けられた。


その様子をカーテンを出て見た。

宇理は多分
藤崎に連れてかれたんだな。


「今の妹でしょ〜?」

女がベッドを降りて来た。


「だったら何?」

「妹に冷たいらしいじゃん?なんで?」

「別に良くね?」

誰がお前に言うかッつーの。

「妹が泣いてんのってぇ、
もしかして陸斗のせいかもよぉ?」

「は?」

話が見えない。

宇理が俺のせいで泣いてる?

なんでそーなるんだよ。


「どぉ見てもブラコンじゃん妹♪」


…ブラコン…。

いや、ナイ。

宇理は俺を怖がってる。

「もっと優しくしてみたらわかるかもよぉ?」

「はぁ…」

もう聞くだけ無駄だな。

ため息を付きながら1人で教室に戻った。
                  


            

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