《MUMEI》
構造
「−−−−という感じでやっていこうと思う」


私達はホテルの山本の部屋で打ち合わせを終えたところだった。

「了解です。明日からがんばりましょう」

「あぁ、それと資料のこの部分、掃除機の改造のところが俺には少し分からないんだが、里緒は解るか?」

「勿論です。作って見せることも出来ますよ」

「これを作ることが出来るのか?」

「えぇ、技術的にはそれほど難しくありません。ただ……発想は凄いです」

「俺が理解できるように構造を説明することは出来るか?」

「うーん。どうでしょう………なんとかやってみます」

「頼む」

−−−私は得意の遠回し表現を使って説明することにする。

「この掃除機を人間と考えて下さい。
そして御飯を食べている時を想像します。食べた御飯は胃の中に入ります。それがこの部分です」

図面を指差しながら説明する。

「と同時に呼吸もします。それは肺に入ります。それがさっきの隣の部屋の部分です。御飯と空気は違う部屋に入る、ここまではいいですか?」

「あぁ大丈夫。ついていけてるよ」

「そして胃の中に入ったものは……えっと……固体と液体に分けられます。部屋が狭いので液体は外に出される仕組みになってます。御飯を食べる作業は以上です」

話していて気分が悪くなる……
遠回しと言っても頭の中では別のものに変換されているのだから。

「そして空気は一方通行で流れて行きます。一度部屋に貯まってこの穴から出ていきます。これで終わりです」

「分かった有難う。つまりこういうことだろ。この人は御飯を食べながら呼吸をし、それから屁をこきながら小……ぐふっ」

頃合いだと思ったので殴っておこう。
最後の部分は山本なりの気遣いだろう。こんな話し、真面目に語りたくない。


冗談ぐらいが調度いい。



冗談であってほしい。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫