《MUMEI》

長い口づけから介抱され、少年ゼウスの口から漏れた、
「母上、このような事は許される事ではありませぬ」
そのセリフはどこか感情を欠く白けたものだった。「うふふふ」ガイアは微笑(わら)った。
「知っているのですよ。あなたが毎夜、愛しあう父と母の寝室を覗いているのは・・・・」
気付かれていた!!
闇の中でうごめく二つの裸体。美母の満月のように輝く尻に、父クロノスの浅黒い腰が打ち付けられる。やがてそのリズムが激しくなると、シーツに横向きに沈んだ母の
美貌が、苦悶とも恍惚ともつかぬ表情を浮かべ、大きく口を開いて何か
うわ言のような事を口走りながら、絶叫する。
普段の気品ある母を知るだけに、それはゼウスにとりどんなショーにも勝る、激しい興奮を呼び覚ます光景だった。
だが、その覗きは誰にも知られたくはない事だった。さっと青ざめる少年を咎めもせず、
母は再びゼウスに甘いキスをすると、
「お父様は今、衛星アテナでの会議に出席し、あと二日は家には戻りません。そして今日は、あなたの誕生日。母から、たっぷりとプレゼントがあります」
服のボタンをゆっくり外しつつ、少年の肌にやさしいキスの雨を降らせる。
父が帰宅するまでの二日間、少年にとり忘我の刻 (とき)が流れた。



(そう・・・・母には、いろいろな事を教えられた。あの頃と比べると、俺も随分すれてしまったが・・・・)
美母の要求通り、乳房をきつく握りしめ、乳頭をなぶりながら、今や天津神族最高の地位に昇りつめたゼウスは、もう片方の手を湯の中へ伸ばし、海藻のようにそよぐ繁みの奥を探っていった。
そこは熱い坩堝(るつぼ)のようにたぎっている。

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