《MUMEI》
妹の変化
                  

お兄ちゃんに口答えしたのは5年ぶり。

返答が怖い……


「…」


お兄ちゃんを見ると

目を見開いて驚いた表情で私を見ていた。


「お兄ちゃん…?」

黙ってる兄が怖くなり話しかけると

信じられない言葉が返ってきた。



「嫌いじゃねぇよ」


え……


ガラッ


「宇理!大丈夫か!?」

いきなり圭汰が入って来た。

圭汰はお兄ちゃんを見た瞬間驚いた表情になった。


「先輩…なんでここに…?」

圭汰がお兄ちゃんに聞いた。


「…兄が妹の様子を見に来たらおかしいか?」


「宇理が可哀想ッスね」

「あ?」


え…まさか喧嘩するの…!?

2人の目付きが怖い。



「今まで宇理を傷付けてきたくせに、
今さら気を持たせる様な事すんなよ!!」


圭汰が初めて怒鳴った所を見た。


「ハッ…俺がいつ宇理を傷付けたんだよ。兄妹だぞ?こんな普通の事で気を持たれたら問題だろ」


そんな風に思われていたんだ……


お兄ちゃんは鼻で笑って涼しい表情で言った。


この時

何かが吹っ切れた感覚になった。



「そうだよ圭汰。私とお兄ちゃんは
兄妹だよ?ありえないよ」


自然と笑顔で言えた。

悲しみさえ感じなかった。



「宇理…?」


笑顔で言ったからか圭汰は驚いた表情で私を見た。


「私はもう大丈夫だから。先にお兄ちゃん帰っててくれる?」

「…あぁ」

お兄ちゃんは不思議そうに私を見た後、保健室を出て行った。

その姿を見ることもなく私はベッドから降りた。

                  

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