《MUMEI》 兄の気紛れ放課後 部活に行こうと廊下を歩いていると 生徒の騒ぎ声が聞こえてきた。 見てみると誰かが倒れてるみたいだった。 「秋山さん大丈夫!?」 「宇理!!」 宇理…? 人混みを掻き分けて近付くと 宇理が階段の下で倒れていた。 「宇理!!」 宇理に駆け寄って呼び掛けていた。 階段から落ちたからか宇理の意識は無い。 保健室に宇理を運んでから 寄り添って手を握ってみると 意識がない宇理の目から涙がこぼれた。 「……またか…」 俺は宇理がなんで泣くのかがわからない。 そう考えていたはずなのに 気がつくと俺は眠っていたらしく、 宇理が俺を幽霊でも見たかの様に見て、泣きそうになった。 「泣くな」 泣くほど嫌なんだろ? 俺が居るのが… 「お兄…ちゃん…」 身体を起こして宇理を見た。 「体大丈夫か?」 言うと突然宇理の目が見開いた。 なんだその表情…? 「うん…。ごめんなさい…」 言った宇理は俺を見てなかった。 黙って宇理を見ていると目が合った。 「見んじゃねぇよ」 つい言ってしまった… いつもならありえない事に 宇理が俺を睨んだ。 「意味わかんないよ…っ」 宇理は下唇を噛みながら言った。 「そんなに私が嫌いなら… なんで来るの!?いつもみたいに放っとけばいいじゃんッ!!」 こんな風に俺にキレる宇理を初めて見た。 前へ |次へ |
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