《MUMEI》
それでも、やっぱり
夏休みだけど、とくに予定はない

俺の学校は、金持ちのお坊ちゃんとお嬢様が多いから…なんとなく、俺、浮いてる…
…それなりに仲良くはしてるけど
学校外で会ったりはしない…

姉ちゃんは、相変わらず夜遊びしてる…

…姉ちゃんの友達が居たから、楽しかったのかもな…
また…ひとりだ…

慣れてたはずなのに…
…こたえるな…なんか…

………ひとりで、父さんの墓参りに行ったんだ

お墓を綺麗にして、花を飾って…

帰りに、ターミナル駅で降りて
おっきな家電の店に行ったんだ
買えないけど…タブレット端末を見たくて

せめて…スマホにしたいよなぁ…

高いなぁ…

モックアップをいじりながら、値段を見たりしてたんだ

また、誰か来たよ…
…店員さんかな…
さっき、見てるだけって言ったのに…

翔太君?…やっぱ翔太君だ
サエさん?…

……ねぇ…時間ある?

え?…あ…うん…

サエさんと、ファミレスでお茶することになったんだ
……サエさんが、ドリンクバーから
アイスコーヒーを持って来てくれた…

姉ちゃんと一緒にいるときは、必ず俺が取りに行かされてたよな…

はい…

ありがと…

………別れてはないんでしょ?

…え?……

…私のせい?

違うよ…

……優香…遊び歩いてるよ…

そうなんだ…

……いいの?

……………俺、黙っちゃったんだ
…サエさんに、話せないことだらけだし…

………優香…男子に人気あるよ…
合コンでも、かなり人気だよ…

…エロい身体してるって、噂されてるんだってね…

………昔は、そんなこと言ってた男子もいたけど…
…優香…綺麗になったじゃない…
…元がいいから、光るよね…目鼻立ち、良いもんね…優香は…
……翔太君が綺麗にしたんだよ……取られちゃうよ…誰かに…

………優香の自由だよ…
俺は、優香の特別じゃぁないから…

………喧嘩してるんでしょ?
優香、追い掛けてほしいんだよ…
…翔太君に、引け目感じてるから

引け目?……俺に引け目なんかないよ
パシリがわりにされてたし…

そんなことないよ、いつも翔太君を自慢してたんだよ…優香…

…都合よい、安パイだったからだろな…

翔太君………
……本気になると、恐いんだよ…嫌われたくないから…

…本気か………わからないや…俺には…
優香の気持ちなんか…わからない…

………好きなら、追い掛けなきゃ…
…追い掛けないなら…
……私と付き合って

え?!……

………直ぐに、エッチは無理だけど…する覚悟はあるわ…

俺、周りを気にしちゃったんだ

空いてる店内だけど……

……私、翔太君を好きよ……遊ばれるのは嫌だけど……翔太君が私を好きになってくれたら…………いいよ…私をあげる…

サエさん、そう言ったんだ
………答えは、今いらないって…

それから世間話し、したんだけど…
…何を話したか、覚えてないや…

サエさんと…エッチ……………できるかも…

その、妄想ばかり頭を駆け巡ってて…

……サエさん、背が高いから、スタイル良いよな

胸は小さめだけど、手足長くてモデルさん体型だし……

…口で、元彼に、してたんだよな…
…フェラって、どんな感じなんだろう…

…サエさんに…キス…されたんだよな…
…上手くやれば、出来る……エッチ出来るんだ…

……だけど…帰り際に、サエさんに言ったんだ

…今さ、かなり凹んでてさ……サエさんと、エッチできたらって考えただけで、ドキドキなんだけど…
……こんな気持ちじゃ、誰とも上手く行かないよ…

優香を吹っ切れてないんだ……思ってた以上…好きになってたみたいでさ…
…優香が、幸せなら、誰とどうなっても…いいよ…

俺の出番は…もう、ないみたいだから…

サエさんに、そう言って、別れたんだ

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