《MUMEI》 業(カルマ)弘志は腕時計を見た。 周りの雑踏の音が忌々しく感じられる。 「遅いなぁ・・・。」 電気メーカーの商品開発部に勤める弘志は、残務を明日に回して麻衣子とのデートを楽しむつもりであった。 もう11月も半ばだというのに暖かく、銀座の街を歩く人々も上衣を脱いでいる人が多い。 麻衣子とは職場で知り合った。人材派遣会社から来た事務員であった。 弘志とは十歳年下の28歳であった。妻の明美とは全く違うタイプの女性であり、プレイボーイの弘志も夢中になってしまう、息を飲むような美貌と抜群のプロポーションを持ち、また、猫のように男を惑わす小悪魔のような性質であった。 俗に、『男は妻とよく似たタイプの女と浮気する』などと言うが 明美と麻衣子は、本当に正反対の性格、外見であった。 なぜ麻衣子が自分 |
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