《MUMEI》
記憶を変えられた妹
                  
あれから

沙奈がお手洗いから戻ってきて

圭汰がどこからか戻ってきて

2人は焦った表情になって慌て出した。


「宇理!次の授業、移動だよ!」

「宇理!早く行くぞ!」

「えっ…」

沙奈と圭汰に引っ張られて歩き出した。


「宇理ちゃん戻っちゃうの?」

「陸斗ぉ〜そろそろ行こ〜」

「…」

銀髪黒メッシュの先輩と
女の人と兄を残して

教室に戻った。



「急にどうしたの2人とも」

「さぁご飯ご飯♪」

「宇理も早くしないと時間ないぞー?」


何かしらばっくれてる気がする。

2人ともどうしちゃったんだろ…


昼食中に疑問に思ったことを聞いてみた。



「私って誰かと付き合ってたりしたっけ?」


「 ブーッ!!! 」


ガタンッ!!

「ぎゃっ」


私がふと聞いてみると圭汰がサイダーを吹き出して

沙奈はイスからいきなり落下した。


「なに…その動揺?」

ますます怪しくなってきた。


「動揺じゃねぇし!
宇理がありえない事急に言い出したからだろ!?」


「そっ、そうだよ!あ〜ビックリしたぁ」


「…私……
誰かを好きだった様な気がして…」


言うと

2人は瞬時に強ばった表情になった。


「え…なにその顔…そうなの…?」


そんな顔されると不安になる…

私…なにか忘れてる…?


「ぷっ!」

いきなり沙奈が吹き出した。


「宇理忘れちゃったの?圭汰とあんなにラブラブだったのに〜!ねぇ圭汰?」

沙奈が圭汰を見て笑う。


「宇理忘れたのかよ?ひでぇな!」

「うそ…ごめん!!」


笑って言う圭汰に謝る。


「……でも…
付き合ってた…記憶がないんだよね…」


私…圭汰と付き合ってたっけ…?

そんな記憶はないはず…


「そりゃそうでしょ!だって宇理、
階段から落ちたし、衝撃でちょっと記憶が混乱してんのよ!」


「あ…そっか…
階段から落ちたからか…」


納得した。

頭痛かったし、記憶がちょっと混乱してるんだ。


「ごめん圭汰!
私達付き合ってたんだね!」

「あぁ!今日も一緒に帰ろーぜ!」

圭汰は笑って言った。


階段から落ちたからって

付き合ってる事忘れてるとか

ひどいなぁ私!


私は圭汰が好きだったんだ!

リア充とか私、幸せ者じゃん!



私が兄を

ずっと想っていたと

思い出すことはなかった ―……


                  

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