《MUMEI》 コールサイン今日は金曜日。 平日の仕事が終わり時刻は17時を少し過ぎたくらいだ。 俺こと藤居友喜は自分の家がない。 いや、ないというのは少し言い過ぎだ。だが、自分が今住んでいるところを家というのはやはり少し抵抗がある。まぁ自分にとって家とは普通に雨風が凌て生活するに全く支障がなければ極端な話、どこかの公園や河原でも良いのだが、流石にプライドがある。 ・・・とりあえずこの話はやめておこう。 さて、今俺が住んでいる場所は大型のフルトレーラーが二台程入る大きさの倉庫だった。 元々は農作業用に使われていた倉庫だったのだが親戚の人がもうほとんど使わないという理由で安く売ってくれた。恐らく相場の半額くらいで・・・ 無駄にデカい鉄の扉開けるて中へと入ると、そこには全体が黒塗りの大型輸送トラックが一台止まっていた。 車体の横には黄色の文字で「Adrenaline」と書かれている 後ろの荷台を開けて中に入る。 中にはBarが設置され奥にはカラオケBOXとソファーが置かれ冷暖房完備そして抜群の防音対策も取られている。 もし、大男がマイクを使って30分間怒鳴り続けても外にはほとんど音は聞こえない程だ。 俺はBarの準備をしてその後、カラオケBOXに新曲を入れてメンテナンスも兼ねて行った。 「ビービービー・・・!!」 「あ?誰だこんな時に電話するバカは・・・って秋さんじゃねぇか!もっし〜」 『フジイィーー!』 「おぉ、珍しく元気だな。どーしたよ?」 『今日飲ませて!もう死ぬ程に浴びるくらい飲ませて!』 あ、これ何かあったパターンだな・・・ 「そりゃ構わんがいったいどーしたよ?」 『良いから飲ませて!後から話すから!!』 「あー分かった分かった。少し待っとけ今から迎え行くから。」 『分かったから早く来て!』 「りょーかいさん」 俺は最終メンテナンスを途中で止めて急いで運転席に向かいトラックを走らせた。 秋さんは高校のときの一つ上の先輩で俺が8年間ずっと片思いしてる人だ。 別に特別可愛いとかすごい魅力があるとか、そんな大層なものは持っていない人だが、ただ負けず嫌いで頑張れる。そこに俺は魅力を感じて以来ずっと片思いして、もう何度も告白してはフラれている。 正直もう何度フラれたとか覚えていない・・・ |
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