《MUMEI》

ちっ…

俺の拳は意図も簡単に、受け流された…
…反撃が来る!

避けずに、逆に間合いを近付けたんだ
その方が、威力が軽減するから…

…なのに…

俺、壁まで吹っ飛ばされた
…くっ…
立ち上がる最中に、タクヤの蹴りが来てた

マサキさんがタクヤに攻撃してなきゃ…顔面にもらってるトコだった…

…接近しなきゃ
タクヤに向かって行った

タクヤの拳が見えた
俺の顔面を狙ってる…
…来る場所がわかってれば…

タクヤの拳が、頬の肉を擦りながら、抜けて行った

俺、タクヤの首に、手を掛けたんだ

ぐうっ!………膝が、腹に……離す…もんか…
ぐぁぁぁぁ!…

渾身の力で、タクヤの首を締めたんだ

ガン!……

何かが、俺の顎をかちあげた…
……肘……

…こんな…間近でも…攻撃出来るのかよ…
…首を、離しちまった…
ヤバィ…

…全てがスローモーションに感じてた…
…不思議な感覚…

…俺、動ける…
…タクヤが、息を吸い込んでた…

…ドン!…
…俺の拳が、タクヤの腹に埋まった…
…力…入ってたのかな?

…タクヤ…苦しそうな顔をしてらぁ…
…なら、もう一発…

…ぁは…簡単じゃんか…
あれ?………
…景色が斜めに…

俺の拳は、あらぬ方に飛んで行ってた…

そして床に、派手に転がったんだ

……つっ…

立ち上がろうとしたけど、足が…

耳鳴りがしてた…
…そして、今度は自分がスローモーションになってたんだ

……ゆっくり立つんだ
脳震盪だ…大丈夫…タクヤは苦し紛れの反撃だった……クリーンヒットじゃねーよ…

マサキさん、俺の手を引きながら、そう言ったんだ

……どうした?タクヤ…
ど素人の翔太に…追い込まれてんじゃねーか…

………マサキさんの言葉に、タクヤは物凄い形相を見せてたんだ

……翔太…あとは、俺がやる…
…タクヤを見捨てた俺に、非はあるんだ…
…タクヤ…喧嘩じゃねーぜ……生き死にだ…
…ありがとな…翔太…

マサキさん、そう言って、タクヤの前に行き、変な指の形をした、構えをとったんだ……

……ふっ……いいだろう……相手になってやらぁ!

タクヤも………マサキさんと、同じ様な構えを…したんだ

…お互い、相手の急所を狙ってる!

指は、目を…潰すつもりだ…

蹴りを放つときは、股間をガードしながら放ってる…
骨と骨が軋み会うような、激しい音がしてた…

…喧嘩じゃねーんだ…
加勢する!

…タクヤに突進したんだ

…翔太!、ダメだぁ!

マサキさんの声…

タクヤの蹴りが、真っ正面から伸びて来てた…

前蹴り?…

俺、スライディングするように、その蹴りの下をすり抜けたんだ

そして、タクヤの軸足を、狙った

タクヤが倒れて来る

……渾身の力で、タクヤの顔面目掛け、拳を伸ばしたんだ

自分の体重で、やられちまいな!

…甘かった…

タクヤの膝が、腹に落ちて来やがったんだ!

払われた軸足を、曲げやがったんだ…

俺の拳も、当たったけど………腹筋が…割けたような痛みが腹に…

…だけど……接近戦だ…

俺の手は、また、タクヤの首を捕らえてた…
…絶対に…離さない…
今度は、絶対に…離すもんか!!

タクヤの拳が、頬をえぐる……ぐっ…指で目を押し込んでやがる!

…ぐぁぁぁあ!!

首の骨を握り潰すように、締めた…

……とにかく…それしか、俺にはなかったから…

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫