《MUMEI》
不良解禁 
                  

あれから巧斗と顔を合わせたくなくて

自分の実家に帰った。


「あ〜…ムカつく!
追いかけるくらいしろよ!」


結局、 巧斗は追いかけて来なかった。

それだけで

フラれた気分だった。


「もう二度と学校行かねぇ!」

言いながら家の布団に寝転ぶ。


「……腹減った…パンでも買うか」

思ってコンビニに行った。





『ありがとうございましたー!またお越しくださいませ〜』


コンビニを出ると

カラフルな頭の奴がたくさん居た。


「朝野ォ」


見ると
ちょっと前に喧嘩した奴等だった。


「この前の借り、返しに来たぜ?」


鼻ピアスの赤髪の男が金属バットを
肩にかかげながら近づいて来た。


「ハッ、暇人はこれだから困るなァ」


鼻で笑って路地裏に歩きだした。


「強がってられんのも今だけだぜ?」

私はこの呟きに気づかなかった…



路地裏に移動すると

赤髪鼻ピアス野郎は狂ったかの様に不気味に笑いだした。


「ギャハハハハ!!!!
みんな出て来いやァ!!!!」


奥の方から武器を持った奴等が
ゾロゾロと出てきた。


「武器と数で勝てると思ってんのかよ?
考えがゲスイなァ」


ざっと見て2クラス分くらいか…

私からしたらこんな数は容易かった。



はずなのに……

いつもの生易しい喧嘩とは違う事に

気付けなかった……



―― グサッ…


「―……え…?」


地面には赤い液体が流れていた。

腹の隅から血が溢れていた…


「ヒット〜!!!
お前ら殺るぞォ!!!」


コイツら…薬使ったか……!?

口からヨダレが出ていた。


「―…っ…!!」


刺されて大量出血のなか武器なんかで
殴られりゃ確実に死ぬ…


喧嘩なんかで死ぬはずないって
思ってた。

喧嘩なんか、ただの殴り合いだと
思ってた。


私は強いから

大丈夫だって思ってた…


でも違った


意地張ってただけで

本当は

めちゃくちゃ弱い ――……


「今日がお前の消える日だ!!!
覚えとけ!!!」


巧斗と喧嘩したまま死んじまうのか…

後味悪いなぁ…


だめだ…もうクラクラして
あまり意識を保てない。

殴られてる感覚すら感じない。

ただ

血のにおいだけ感じた



『死んだら許さねぇ』


「……?」

巧斗の声が聞こえた気がした。

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