《MUMEI》

『何を恐れている?私はそなたの中の素質を、少し開花させてあげただけ・・・・』
その時どこからともなく、ガイアの声が、聞こえてくる、と言うより、
侍女の頭の中で直接鳴り響いた。
「ここはどこなの?!私を元の世界へ帰して下さい!!」
『やはり知的生命体であるほど、己の五感に支配されやすいと言うデータは、どこの宇宙でも当てはまるようだな。むしろ原始的な生命のほうが、ありのままに世界を捉える能力に長けている、と言うのは、何とも皮肉な話よ』
「一体何の話をしているの?!私をすぐに元の世界へ帰して!」
元来野育ちの侍女の
反発力が内に目覚め、ガイアへの怖れを超えて、叫びを上げさせる。
『帰るも何も、そなたは部屋から一歩たりとも出ておらぬ。ただ、元いた
世界を違う角度から眺めているに過ぎぬわ。
そなた自身の第三の眼による視覚でな・・・・』

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