《MUMEI》 初めまして今日は金曜日。 街はどこもかしこも一週間の終わりを労うために居酒屋などにサラリーマンが押し寄せて行く。 実際、俺の近くでも上司が同僚を飲みに誘いに行ってるところだった。 「松島、この後予定あるか?」 「いえ、とくにありませんが・・・」 「ならこれから飲みに行くぞ!藤居!!お前も来るだろう?」 げ、俺にもふってきやがったよ・・・ 彼はここの部署のリーダーの大原信樹部長だ。 なんでも強引に人を誘ってくることで有名な人だ。 「すいません、部長。ちょっとこれから予定がありまして飲みに行けないんです・・・」 「なんだ、また用事か。たまには付き合わんか!」 「すいません、今度部長にも教えますんで勘弁してください。」 それだけ言って俺はそそくさとすぐに部屋を出て行った 「まったく、最近の奴らは付き合いが悪いな・・・ん?教える?何をだ?松島知ってるか?」 「いえ、全然覚えがありませんけど・・・」 話を聞いていた社員も首を傾げていた。 ロッカーに向かった俺は作業服から私服に着替える。 といっても、その私服が黒色のつなぎなためあまり変わらないのだがな ロッカーを出てすぐに駐輪場に向かうと俺のバイクの隣に人影がみえた。 近づくとそいつは俺に気がついたらしく振り向いて手をあげてきた。 俺もそれに答えるように手をあげてやる。 中原優介。中学からのダチで高校は違ったがまさか同じ場所に就職して再開するほどの腐れ縁だ。 「遅かったじゃねぇか。待ちくたびれたぞ」 「うるせぇ、部長に飲み誘われてうるさかったんだよ」 「あの大原部長か!はははッなら早い方だな。」 「だろ?これでも頑張ったんだから褒めてくれよ、っとんなことよりさっさと行こうぜ客が待ってる。」 「そうだな。」 優介も俺の隣に止めていたバイクにまたがりエンジンをつけた。Gsx Katana400それが優介のバイクで 俺のはドゥカティのモンスターだ 二人同時に会社を後にして出て行く。 1時間ほど走ってようやく目的地に到着したところは少し山の中にある巨大倉庫のある場所だった。 大きさ的には学校の体育館くらいはある倉庫で、元々は農作業用に使われていたらしいのだが、俺らが安く買取ったのだ。 無駄にデカイ鉄の扉にバイクを止めるとメットを外して優介と向き合い・・・ 「「さいしょはグー!ジャンケン・・・ぽん!!」」 優介 パー 俺 チョキ 「よっしゃ!ほれ、敗者はとっとと扉開けろよ♪」 「くそ〜・・・るせぇ!覚えとけよこの野郎」 ぶつくさと文句を垂れながら優介は鉄の扉を開けにいく。なんでここまで俺らが扉を開けるのを競うかというと理由は簡単だ。 見た目通りにこのバカデカイ鉄の扉はクソ重たいからだ。おまけに長年放置されていたためか車輪が若干錆びちまってるのが難点だ。 「うおりゃあぁぁ!!」 と、掛け声をあげながら優介は勢いよく扉を開けていく。 半分まで開けると優介はぐったりと地面に座り込んでしまった。無理もない、おおよそだが100kg近くあるからなあれ・・・ バイクを手で押しながら中に入るとそこには全体が黒塗りの10tトラックが一台止まっていた。 車体の横には黄色の文字で「Adrenaline」と書かれている 前へ |
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