《MUMEI》

「そんなややこしい話はどうでもいいですのです!と・に・か・く!私をすぐに元の世界へ帰して下さいっ!」
侍女がとうとうブチ切れると、じだんだ踏んで叫ぶ。
その足元で、頭蓋骨が一つ砕け散った。
大気中にガイアのくすくす笑う声がこだまする。
『とんだ跳ねっ返りよな。さすがに私がガーディアンとして、選んだだけの事はある』
「ガーディアンて・・・・。ますます意味が、わかりません!」
『何やら先程から、重大な誤解があるような。
そなたは私が、そなたが言うところの、この
別世界へひきづりこんだ張本人と思いこんでいるようだが、大きな誤解と言うもの。
そなたが望めば元の世界へは、いつでも戻れるぞ。ただ意識をずらせば良いだけの話。』
「意識を・・・・?」
『そなたは覚醒したばかりで、まだ戸惑(とまど)っているだけ・・・・。早く力を己が意のままに使いこなせるようになり、我が剣(つるぎ)となれ・・・・』
我が剣となれ・・・・。
その言葉は現在の恐怖感も忘れさせて、侍女の心に突き刺さる。
一介の農民の娘が、王女にとってそこまで必要不可欠の存在に!!
それは善悪を超えて侍女の心に、震えるような
感動を呼び起こした。
『さすれば、その見返りとして、永遠の若さと美を授けてやろう・・・・』

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