《MUMEI》

「あ、葵の家見えてきたなー!」

「あ、そういえば陽希!私もさ、あと少しでバイトは辞めるから」

「えー。じゃあ、こうやって送ってあげること出来なくなるのか〜…。何かちょっと寂しいな」

「進路あるし仕方ないっ!でも、登下校は変わらず出来るからいいじゃん!」


そう言うと、子供みたいに無邪気に笑う陽希。

この陽希の可愛い笑顔が大好きなんだよね、私。


私んちの近くまで来ると、急に歩くペースが遅くなる陽希。


「葵〜…俺、まだ葵といたいんだけど」


…その可愛さ反則っ!


「んー、じゃあ、いつもの公園行く?」


私んちの近所にある、小さな公園。

バイト帰りによく2人で来てる場所。

私がバイト辞めたら、あんまり来なくなるのかなあ。


座り慣れたベンチに腰掛ける私達。


「葵〜っ」


そしてお決まりのハグ。
これはほとんど陽希から。

私、身長低いから抱きしめられると陽希にすっぽり埋まっちゃうんだよね。
まあ、陽希が身長高いっていうのもあるんだろうけど。


「葵、ほんとちっちゃくて可愛いね」

「…うるさいなあ…」

「嬉しいくせにっ」


ほらね、私達ちゃんとラブラブでしょ。


「…ちゅーしよ、葵」

「…うん」


目が合って、
ゆっくり顔が近づいてきて、
お互いに目とじて、重なる唇。

最初は本当にぎこちないキスだったのに、回数を重ねる度に、陽希は上手になっていって。


「…ん…葵…超エロい顔になってるけど」

「陽希がそういうキスするからだよっ…って、ちょっとどこ触ってんの////」

「ちょっと胸触っただけじゃんー」


ちょっとって…ここ、公園だし!

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