《MUMEI》

                                    
 無我夢中に走って我慢していた涙も

    いっぱい溢れ出た。


      「うっ…ッ…」


  昇降口で立ち尽くして泣いた。


   もう別れた方が良いよね

  京弥を解放してあげなきゃね…

       メールに


 "別れよ。今までありがとね"


    とだけ書いて送った。


   きっと…私から解放されて

    喜んでるんだろーな…



   涙を拭いながら靴を履いて

     外に歩き出すと



     「ごめん優佳…っ!」


       「…!?」



     えっ……なんで…!?

   後ろから私を抱き締める京弥。


    「何しに…来たの…?」


    京弥は走って来たのか、

     息が上がっていた。


      「俺は別れねぇよ」


      は?何今さら

      ふざけないでよ…


  「私は浮気する彼氏とかいらない」


  京弥が険しい表情で私を見た。


「京弥が他の女の子と居て苦しかった。

  嫉妬もしたし、何回も泣いた。

  でも京弥はやめてくれなかった。

  だからもう嫌なの…別れて」


  歩き出すとまた手を掴まれた。


「俺は優佳が好きだ。だから別れねぇ」


「ふざけないで!好きだったら普通
浮気なんかしないでしょ!?」


    また泣いてしまった。



                                    

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