《MUMEI》

ガイアを犯し続ける
ゼウスがちらりと侍女のほうを一瞥すると、にいっと笑みを浮かべる。
「うぶな乙女も欲情を催したようだな。眼をそらさずに男と女のまぐわいの真実を見届けるがよい」
その笑みがくわっと耳元まで裂けていく。
両眼の目尻も吊り上がり、堀りの深い整った顔立ちがグニャリと歪んでいく。
(ああ・・・・、また
視界がずれ始めてるんだわ)
だが膝の下の毛足の深い絨毯が、モコモコと頭蓋骨の硬い感触に盛り上がり始める様は、どう考えても幻覚などと言う域を越えていた。
寝室の壁がミシミシと軋み、ひびが広がっていくのを見て、
(ああ・・・・また、あの世界に引き戻される!)
侍女の心を焦りと恐怖が過ぎった。
ベットの上では周囲の世界の変貌にも気付かな気に、母子が背徳の交わりに没頭している。
鬼の形相の息子に背後から突かれながら、ガイアがとろけた眼で
「ああ・・・・もう許して・・・・」と訴えている。
言葉と裏腹に女体は全身で息子に媚び、突きに合わせるように白い豊満な尻をうねらせていた。
絨毯の布地が裂けると、そかしこから無数の頭蓋骨が顔を覗かせ始めた。
壁のひびもさらに大きく広がり、ぽろぽろと崩れ落ちていく。
「ああっ!またいくうっ!もっと!もっと突いて!淫らな母を突き殺して!」何度目かのエクスタシーに、全身を汗でぬめ光らせながら、ガイアが
小刻みに痙攣すると、
鬼ゼウスがうおーっと吠えながらのけ反り、豊満な尻にぐりっと腰を押し付けて、心ゆくまで射精
を遂げた。
汗にまみれた二つの裸体は、皺くちゃのシーツの上にくず折れると、快楽の極みに満足したように 、全身を喘がせながら
折り重なっている。



ズズズズ・・・・。



するとその母子を乗せたまま、豪華なベットが
底無しの沼に飲み込まれるように、床を覆った
無数の頭蓋骨の中に沈んでいく。
完全に没っしきる頃には、寝室の壁もすっかり崩れ去っていた。
侍女は再び、赤い空の下、地平線まで広がる
頭蓋骨の大地の上に佇む己を発見した。
「いやぁ・・・・いやよぉ・・・・」

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