《MUMEI》
戸惑う妹
                                    
「あ…れ?」


目が覚めると自分の部屋のベッドだった。


「なんで…?」

よく思い出せない…。


とりあえずリビングに行くと

お兄ちゃんがソファでうつ向いていた。


ドクン…

ダメだ…何か言われそうで怖い…。


完全に前の私に戻ってしまった。

お兄ちゃんに会うのが怖い…


部屋に戻ろうと方向転換すると


「宇理」


ビクッ!!

「…ぁ……はい…ッ」


恐る恐る振り向くとお兄ちゃんが歩いて来た。

怖い…!!

またひどい事言われるんだ…


うつ向いてビクビクしていると


ぎゅ…


「…!!?」


お兄ちゃんが私を抱き締めた。


え!?なんで!?


お兄ちゃんがこんな事してきたのは初めてだった。


「ごめん宇理…」

抱き締めたまま謝られた。


「…え…?」

普段なら絶対にありえない光景だった。


何がなんだかサッパリわからない…


「もうひどい事言ったりしないから…
こっちおいで?」

私を離すとリビングに導いた。


お兄ちゃんどうしちゃったの…?

今お兄ちゃんが優しくしてる相手は

大嫌いな妹なんだよ…?


ソファには先にお兄ちゃんが座った。


「ここ乗って?」

お兄ちゃんが指していたのは
膝の上だった。


「え…!?」

おどおどしていると
いきなりお兄ちゃんに乗せられた。

なんでこんな事するの…!?

お兄ちゃんの上に向かい合って
座ってる状態。


「お兄ちゃ…っ///離して…ッ!」


こんな間近でお兄ちゃんを見たのは5年ぶり。


「やだ。離したら逃げるだろ?」


ドキン!

何その顔……カッコ良すぎだよ…!

流し目でしかお兄ちゃんを見る事が
出来ない。


「宇理」

呼ばれてお兄ちゃんの方を見た瞬間



「んっ……」


――…キスされた。


時が止まったみたいだった

大好きな兄に

優しくされてキスまでされてしまった


お兄ちゃんは私を隣に座らせた。


ガチャッ

「ただいま〜♪」


お母さんが帰って来たみたいだけど

見る余裕もない…

それから私は15分くらい停止していた。
                                    

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