《MUMEI》
兄の意地悪
                                    

藤崎から話を全て聞いて

正直俺は今…正常では居られない。


宇理は俺が好きだったらしい。

この5年間

俺がどれだけ冷たくしても好きでいてくれたんだと。


ずっと両想いだったんじゃねぇか…

宇理は俺に嫌われてると
思ってたらしい。


けど、もっと早く宇理の気持ちに

気づけていれば

冷たくしたりひどい事言ったり

絶対にしなかったのに。


ソファでうつ向いて反省会をしていると


小さい足音が聞こえてきた。

宇理が起きて来たか…

宇理の方を見ると部屋に戻ろうとしていた。


「宇理」

呼び止めると宇理の身体が
ビクッとなった。


やっぱり俺が怖いんだな…



「ぁ……はい…ッ」



声や肩が震えていて

宇理の心が俺を拒絶しているのが

見てわかった。


そんな姿を見ると


自分の行為がどれだけひどく彼女を

傷付けていたかが痛いくらい思い知らされた。


気付けば俺は

優しく宇理を抱き締めて謝っていた。


「ごめん宇理…」


「…え…?」


宇理の間抜けな声が聞こえてきた。


「もうひどい事言わないから…
こっちおいで?」


言ってソファまで誘導した。


「乗って?」


「え!?」



俺が自分の膝を指差すと

宇理は何が何だかわからない

という様な顔をして驚いていた。

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