《MUMEI》
『殺人者、語る。』
僕は人間が嫌いだ。いや、嫌いというより苦手というべきか。
何にせよ、好意的な感情を抱いていない事は明白である。

じゃああんたは人間じゃないの?などという面白味のまるで無いツッコミは控えて頂きたい。
大丈夫、僕はれっきとした霊長類だ。
その辺の心配はご無用なので、生暖かい視線で僕の眼下でぐちゃっている物を見守ってくれると助かる。

…いや〜、まさか見つかるとは思って無かったよ。
だって今深夜の二時だぜ?こんな時間に出歩く高校生なんて、とんだクズ不良野郎だと思わないかい?

…それはお前もだろって?うん、まぁそーですね。
だけど仕方無いんだ、僕は人間が嫌いだから。

この学校、いや街には人が多すぎるんだ。

あいつらの出す吐息とか汚い言葉の中じゃ、息が詰まって動けなくなってしまう。苦しいんだよ、本当に。

だから、数を減らそうとしたんだ。
もっとよりよい社会、みんな明るく楽しい街を作るために尽力してみたんだよ。

…訳が分からないって顔、してるね。

まぁ、今に分かるから、そこで動かないでじっとしていてよ。

君もすぐに、僕の下に広がってる、赤い塊にしてあげるからさ。

…どうしたの?怖いの?

だって、そりゃあしょうがないよ、君は僕の人肉加工現場を見ちゃったんだから。

まだ警察の方々の厄介にはなりたくないしね。

僕は君を殺してここから逃げるとするよ。残念だったね。

もし、君がこの時間帯に、この自販機で飲料を購入しようとしなかったら、違う結果があったかもしれないね。

今更どういう風に足掻いても、過程は永遠に変わらず、例外無く君はデッドエンドだけど。


…それじゃ、さよなら。いい夢を。

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