《MUMEI》 「懐かしい!ここでマラソンみたいに走らされた。」 かえでがうっすら浮かぶ白線を辿る。 学校の向かいに公園が出来上がってすぐにかえでは転校した。 「滑るから気をつけて!」 七生が女だったらこんなかんじかな。ちなみに七生は遊べないように綺麗に縛られているブランコの上をよじ登っている。 あれはいい、落ちて頭でも打ってしまえ。 「二郎、見て!雪だるま」 表面だけ降った雪でひどく不格好な雪だるまを作ってかえではそれを掌に乗せている。 「もげた」 雪だるまの不安定な頭が落ちた。七生が数メートル離れた場所で言う。恐ろしく視力が良い。 「冷たっ!」 地面に転がる頭に気を取られていると首筋に冷気を感じた。 触ると雪のひんやりとした水滴が指を濡らしている。 「なーなーおー!」 ムキになって雪を固めるも、ぜんぜんまだ集まる程降っていない。 雪玉なんてよく作れるな。 ゆきだま? 七生のとこまで走った。 「やるのか!」 身構え間を取る七生に無防備に向かう。顔面に雪が付いた。眼鏡が曇って進みにくい。 バランスが取れないので前のめりに突っ込む。手が宙を掻く。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |