《MUMEI》

教師の長い長い注意が終わった後、最後の挨拶を終えてクラスメイト達が列をなし、教室から排出されていく。

うちの学校は、帰宅部という選択肢は許容されていないから、みんなそれぞれの部活動に励むために、活動場所に向かって足を運んでいるのだろう。
俺はまだ何となく部活に行く気になれなくて、教室に残って机の上で頬杖をつきながら窓の外を見つめていた。

…あ、野球部の奴、場外ホームランしやがった。水泳部の頭に直撃したけど大丈夫かアレ。

「……ありゃあ痛そうだな…」

「何してんだお前?」


気がつくと呆れたようにこちらを見つめてつったっている弧葉がいた。

「お前部活行ったんじゃなかったのかよ…」

「部長が居ないと活動できねぇよ、馬鹿。ほら、はやく立てって」

「えー、めんどくせー。コノハちゃんに部長権やるからよろしく頼むよー」

「…次そうやって呼んだら殺してやるからな。俺は部長とかやる器じゃねーんだよ、一部員で充分です」

はやく行くぞ、とばかりに腕を引っ張ってくる弧葉。
俺は溜め息をついて席から立ち上がった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫