《MUMEI》 家族私には「家族」がいません。 家に帰っても、1人です。 写真などがあるわけもありません。 だって、私には写真を撮った記憶が 1つもないのですから。 お母さん。 私のお母さんは 私を捨てました。 1度だけ、お母さんと出かけたことがありました。 そのとき私は、どれを買うか、時間をかけて 迷っていました。 結局、必要でないと判断し、買わなかったのです。 すると、お母さんはこう言ったのです。 「こんなに時間かけて、相当価値のあるものを買ったんでしょうね。 あなたは、そんな悩むような価値がある人間なの!?」 と。 自分が産んだ子供に、「価値があるのか」問いただしてきました。 そして、私が 「……今日は…何も、買わなかった」 と答えると、お母さんは 「信じられない!! 仕事の合間をぬって来てあげたっていうのに! 今日は大事な日なのに…隆さん……」 と言いながら、私の頬を強く叩きました。 そして…私を置いて、仕事へ行きました。 その日は私の12歳の誕生日でした。 12歳ともなれば、いろいろ感づいてくるもので お母さんの仕事も分かっていました。 「どうせ、クラブのママなんでしょ…」 お母さんはクラブのママをしていました。 「隆さん」というのは、お客さんの名前です。 お母さんは「隆さん」にこだわっていました。 何か…ヤるとき、痛くないとか。 今では、あきれるばかりです。 次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |