《MUMEI》
――直哉視点
「何か裕斗と外で会うのって久し振りだなー」
ドリンクバーから汲んできたアイスコーヒーを二人分テーブルに置き、俺は椅子に座る。
「はは、そうだね、…最近アパートばっかりだったもんね」
裕斗は何時もの笑顔を見せながらストローの袋を千切り、飲み始めた。
今日は久し振りに外で待ち合わせをした。
裕斗は何時も日曜の午前中はアパートに来てくれるのに今日、来なかった。
こんな事アパート借り出してから一回も無かったし、メールの一つも無かったから、俺は今日一日裕斗にメールと電話をしまくった。
「オーディションの話聞いてればあ、そんならそうと分かってればヤキモキしねーで済んだのに」
朝から仕事だったんじゃ仕方ねえし、連絡つかないのも納得出来る。
俺はミルクをコーヒーに入れ、ストローで掻き回す。
「本当御免な、なお…」
裕斗は本当に申し訳なさそうにシュンとしている。
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