《MUMEI》 保健室に行くと、鍵だけ開いていて、先生も生徒も誰一人いない殺風景な状態だった。 怪我を治すにしろ、休息用の椅子は荷物でいっぱいだったため、使えずベッドに行く事にした。 「ここでいいだろ…」 「うん…」 「消毒液と絆創膏取ってくるな…」 「ありがとう…」 本当に気分が悪い、陰湿だ、最悪だ。 「おい、消毒するぞ…ちょっと染みるかも知れねーけど…それにしても誰にやられたんだ…これ…」 亮の彼女にぶっ飛ばされた、なんて言えない もし、そんな事を言ったら、長門君、亮に殴りかかるかも知れないから。 「えっえーとお…」 「松下か…」 「えっあっまあ、そんな感じ…」 「はあーまたあいつか…」 「じゃなくて、松下の彼女に押し倒された…」 「あー向井か…」 「そうそう、向井さん…」 「あいつら、過激しらねーからな…それと、」 長門君は拳を作り、 「二度と松下亮とは関わるな…まあ、一応今日の件は、あいつの弟に言ってやるよ…」 「え…弟…」 亮に弟がいたとは、初めて気づいた。 「ああ、京都にいて…知り合いだし、番号知ってるから…」 「そっ、そう…ありがとう…」 「それと…お前の事、絶対にあいつより幸せにしてやる…付き合ってくれ…」 「え…でも…」 まだ、失恋の傷が癒えないこいつには交際なんて無理か…あんな酷い別れ方をされて。すんなり受け入れられないか。 前へ |次へ |
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