《MUMEI》
認められない現実
「先輩はっ…他の人に渡したくないって言ってくれたっ!」

「ふぅん…そんなこと言われてたんだ…僕以外の男に刺激されたら、陽菜はすぐそっちにいくんだね?」

「違うっ!」

「なにが違うんだよっ!真鍋が相手でも佐伯が相手でも刺激されたらすぐにそっちに行くだろ!」

陽菜が悲鳴のような声を上げて僕を否定するから、僕もついムキになってしまった。



嘘ばかり吐く癖に…すぐ裏切るくせに…、
なにが『違う』だよ…。



落ち着け…
落ち着け…





ドクンドクンと波打つ自分の心臓に、そう言い聞かせた。

「認める気がないなら、さっきの自分を客観的に見てみる?」

僕は今さっき撮影したばかりの映像を、再生した。



『…陽菜…すごく気持ち良さそうだね』

カメラから流れる僕の声を聞くと、陽菜はハッとした表情で僕を見た。

「ゃ…やだ…」

カメラを奪おうとする陽菜を、僕は避けた。

『ひぁ…ひぁあ…っ』

「…ゃ」

『聞かれてんだから答えろよ』

『い゙っ…ぅ…うぁ…ぁあぁああ!!』

「やめてっ!」

『ごめ…っ、ごめ…なさ…、ごめんなさいぃぃいいぃぃぃッ!!!』

「やめてぇぇえぇッ!!!!!!」

映像の中の陽菜の声を掻き消すように、陽菜は耳を塞ぎながら叫んだ。

「これが真実だよっ!」

僕は怒鳴りながら、自らの耳を塞ぐ陽菜の手を剥がそうとした。

「やだっ!聞きたくないっ!!」

「ちゃんと聞け!見ろよ!これが真実なんだよ!陽菜は誰にでも感じる変態だよ!異常者だ!」









僕は……

何を言っているんだろう…。
そんなこと認めさせて、どうするんだろう…。

これでもし、陽菜が誰にでも感じる変態だと認めたら僕は…ラクになれるんだろうか……。
陽菜への想いを、断ち切れるんだろうか……






違う…

そうじゃない…



僕は…
僕は……








「誰にでもじゃないっ!」

陽菜が叫んだ。

「あたしはっ、異常者だけど…っ、誰にでもじゃない…っ!!」

耳を塞いだまま、陽菜は叫び続ける。

「誰にでもじゃないっ!!!」









それって、つまり……
真鍋なら…なにされてもいいってことだよね……?

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