《MUMEI》

米岡はアトリエに戻ったらしく、置き手紙の代わりに写真が数枚渡されたらしい。
情事の最中に撮影したものの一部で光の顔が接写している、そういう倒錯した厭らしさを感じさせない絵になっていた。
俺のパソコンに送られていたのは執着したドス黒いエロスの塊みたいな画像ばかりだったが……。

作品として使うには濃密過ぎる絡みで、没になったものだそうだ。
光にばれないように速やかに棄てた。

光や俺の社会的地位の失脚が目的ではなく、あくまでも芸術として好奇心があるという文面が添えられてある。
腑に落ちないところもあるが、今奴には創作意欲とやらに溢れているから下手な追求はしない。

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