《MUMEI》 「これはキレメ 外と中 開錠と拘束 高柳樹と斎藤アラタ 奴隷と君主 従属と反発」 アラタは歌うように口ずさむ。カッターが樹の手首の上で垂直に止まる。 「これが生と死」 扉からアラタの笑い声が漏れた。 握られているのは生死だけではない。 「汚れてしまう。」 樹は床を指したのかアラタを指したのか曖昧に述べた。 「とうに汚れている。 お前に抱かれた俺を誰かが抱いていたら愉しいだろうに。」 「そんなこと言うなよ。 俺は斎藤の嫌がることは絶対にしない。 斎藤を傷付けるようなことがあろうものなら刺して構わない。」 樹の手首に意識的に力がこもる。 前へ |次へ |
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