《MUMEI》 報道陣. 「どう‥だった…?」 人込みから抜け出すと、不安げな表情をした優香と美樹が二人を待っていた。 司はショックで目が合わせられず、俯いてしまっている為に仕方なく洋平が答える。 「……多分、井上。」 「そんな…っ!!」 優香と美樹が、今にも卒倒するんじゃないかという顔をしたので、洋平は慌てて付け加えた。 「いや!でもまだハッキリ分かった訳じゃないんだ。」 「どう言う事?」 洋平は、さっき見たまんまの事を二人に話して聞かせた。 「――だからさ、靴だけじゃ井上かどうかなんてわかんないし。それに、あんな靴ありふれてんだろ!?」 「………うん。」 美樹と優香の不安を和らげるというより、司は自分に言い聞かせていた。 あれが井上でない事を願いたかったのだ。 しかし、そんな温い考えに冷や水を掛けられる。 「でも…どちらにしても、きっと詳しい事はニュースで分かる…。」 俯いているとばかり思っていた司が、申し訳なさそうに言ってきたのだ。 「あれ見てよ…。」 そう言って司が指差した先には、いつから居たのか、多くの報道陣が野次馬達に混ざり、我先にと言わんばかりにカメラを廻していた。 前へ |次へ |
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