《MUMEI》

恋愛もマトモに出来ていない、いたいけな弟を毒牙にかけるなんて最低な奴だ。
相当遊んでいるらしく、噂では性別が女なら犬でも喰うとか言われている。

それがついに、性別の壁を超えたのか……?

「神林は危険だ、雪彦。そうだ!次に遊ぶときは入れてくれよ。」

「危なくないよ。遊ぶのは先輩に聞いてみるね。来週でいい?」

完全に信じきっている顔だ。
神林は俺と試合の時も可愛い可愛い言ってベタベタとスキンシップが激しかった。


「変なことされてないよな?」

「わ、急になんだよ!」

シャツを捲り上げて上半身に何も痕跡が無いことを確認したが体は真っさらなままだ。
このつるつるの肌は俺が触れる特権だ。

「たまに兄ちゃん怖いよ。」

「えっ、嫌なのか?」

「嫌っていうか……なんか、ぴたぴたしてきて暑苦しいっていうか。兄弟だから普通なんだけどこう、気温が高いとね……」

今まで拒まれたことなんて一度も無かったのに……それもこれも全て神林のせいに違いない。許すまじ。

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