《MUMEI》 とある噂第一話 ‖とある噂‖ 「面白い人?うーん…」 午後3時過ぎ、道端で捕まえた女子高生にある質問をした。これはこの子で6人目、セミロングの茶髪で最近の女子高生と思わせる見た目をした彼女は少し悩んだ後「あ、」と、思い出したような顔をした。 私は食いぎみでメモ帳片手に彼女の言葉を待った。 「面白い………ってゆーか変わった人なら」 「そんなんでもいいです。誰ですか?」 彼女はまた悩んだ表情を一瞬見せてから、 「あたしの学校の男の先輩なんですけど、いろんな噂があって」 「どんな?」 「あたしは見てないんですけど、その先輩が鳥と談話してたとか晴れの日に傘持ってきて帰る頃には大雨で先輩だけ傘さしてたとか、まだ他にもいろいろ…」 「……………その先輩って、なんてゆう名前ですか?」 「えーと………確か、」 私はペンを持つ右の手のひらが汗で湿ったのを感じた。嫌な予感、まさかと思いながらその先輩とやらの名前を待つ……。 「斎籐、黒乃」 「!!」 ―――――――――サイトウ、クロノ……… 頭の中で繰り返す。 そんな、だって……… 私が質問をした前の5人だって同じ名前を上げたのよ!?しかも同じ学生ならまだしも、私が聞いたのは歳も性別もバラバラ。 なのに、なんで!? 私がこれまで雑誌のアンケートでこんな偶然に出会ったのは初めて。芸能人でもないただの一般人よ?しかもそこら辺ウジャウジャいる学生、ここは大都会の東京よ?高校生だけでも何万人いると思ってんの。 けれど口にするのはどれもこれも”斎籐黒乃” ほんとにただの偶然? 私は彼女にお礼を言って立ち去った。 視界には人の蠢く姿、頭の中は斎籐黒乃とゆう顔も知らない人物のことで頭がいっぱい……。 その後も何度かアンケートを取ったが決まって出てくるのは噂の斎籐黒乃。 ここまで全てが一致で逆に怖い 前へ |次へ |
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