《MUMEI》 俺の中にいる黒い獣。 あの時から俺の中に棲みついた黒い獣よ・・・・! 今はまだ鎮まっていてくれ! その時が来ればたっぷりとお前に奴らの血肉を食らわせてやる! 今はとにかく生きのびる事だ。 畜生・・・・ それにしても何て暑さだ。 まるで自分の全身が雑巾にでもなって、無理やり体中の水分を絞りとられているみたいだぜ。 あいにくもうからからに干上がっちまって、体の中に水分なんて少しも残っていない感じだが・・・・。 今や喉の渇きはギリギリと体を絞り上げ、絶え間ない肉体の苦痛を訴え続けている。 「こっちか・・・・」 男は 吹きつける熱風の中に、再び水の匂いを嗅ぎとるかのように鼻を鳴らし、砂の上に一歩踏み出した。 前へ |次へ |
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