《MUMEI》

 








自室に遊佐と星夜の二人、布団を敷きその上で未だ小さくしゃっくりを上げ続ける。

ため息がまたはきだされた。













「………黙ってちゃわかんねーだろ」

「……………………ヒック、オエッ」

「えずくな」








表面上は呆れたようにしたが、内心体調の影響で吐き気に襲われたのかと多少焦った。



星夜は口を開くことなく俯いた状態のまま、遊佐はどうしたもんかと乱雑に頭を掻く。







「あー……もういい、熱あんだから着替えて寝てろ。飯は誰かに頼んで持ってきてや……「寂しかったんです………。多分、」











掻いていた手がピタリと止まり星夜に目を向けた。





――――――今、なんつった?コイツ……









半分理解が追い付かない遊佐は切れ長の目を見開き固まる。星夜は未だ俯いた状態のまま、黒髪が顔を隠す。














「お前、今なんつった……?」










その言葉にやっと顔を上げ目線を合わせた。涙目でキツく睨み付けるように。

遊佐はそんな表情など予想していなかったため、少し呆気にとられた。















「遊佐さんの昨日の言葉、案外辛かったんですよ!?」

「あ?昨日………?」

「覚えて無いんですか!?」










信じられない。と目線を下げ小さく呟く。

遊佐はそれに軽く苛立ち「覚えてねぇもんは仕方ねーだろ。何が気に食わねぇのかさっさと言え」

荒っぽく口にした







キツいその言い方に今日の星夜は怯むことなく突っかかるようにまた睨みをきかせ、









「どうしてそういつもいつも突き刺さった物言いしか出来ないんです?」

「悪ィなこれは生まれつきだ直そうなんて思ってもいねぇ。それから、主旨が変わって来てるんじゃねーか?さっさと俺が昨日言ったことを言えよ」

「――――――ッ!もういいです!着替えるんで出てってく……………だ…?」












瞬間、グラリと視界が歪む

床も天井もごっちゃになって反転する。





―――――――――ヤバイ










感情を乱したせいか熱が急激に回り、ボフンと布団に転がる。遊佐はいきなりのことにまたも目が見開かれる。















 

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