《MUMEI》

 











「おい!!!」













近くで声をかけても返事が無い。

布団の上に力なく埋もれた星夜を起こし、そのまま自分の胸元に預けるように座らせ後ろから額を触った。








「………熱いな」











意識は無く、ただ荒い息遣いだけを口にする星夜の髪や着物は汗で湿っていて顔も火照っている。


このままではますます悪化してしまうと頭の中で思考を巡らせた。




そして表情を歪める











「……………ったく、」











子守りは苦手なんだよッ









内心舌打ちをしながら表情をまたも酷く歪める











辛そうに目を瞑る星夜に顔を近付け囁くように、






「後でギャアギャア言うんじゃねーぞ」そう言った…………。




















▽▼
















「……………………………………






……………んばァア!」













布団から飛び起き叫ぶ。

額にはうっすら汗をかきながら目を覚ました星夜、





外はオレンジ色に染まっていて襖の隙間から部屋に細く入り込んでいた……














「ハァ、………よかった。ハァ……浜ちゃんにぶたれるとこだった……」











荒い息を調整しながら呟く。緊迫した表情を見せるが、どこがどう怖かったのか理解が出来ない独り言。


そして星夜は気付く、











「あり?」












真下には布団の上に落ちてある湿ったタオル。多分、額に置いてあったんだろう。だが今はそんなことは関係ない。問題は……………













「………あたし、いつ着替えたっけ?」












自分が今着ているのは浴衣、寝るときにしか着ないやつだ。


ああ、そっかあたし知らない間に着替えたのか。なんだーそっかーアハハ―……………………って、







ンなわけあるかァ!!


どうゆことだ!?意味がわからん、意味わからんぞ!?






あたし熱が回って倒れたんだ、それから記憶がない。その時遊佐さんがいて…



遊佐さんが…………いて…?











「ハハハハ、いやいや、ないない。だって普通に、常識的に、…………………。」









いや、あの人に常識的な感覚があるのか?












「………………………………」







ダラダラダラ、













 

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