《MUMEI》

「えーちゃんこれヤベーよっ!」


「ヤベーっつたってどーにもなんね〜よっ!」





春馬んちの軽トラでコンビニに煙草を買いに来たまではよかったが、軽トラが止まってしまったのだ。



大雨。


とにかく土砂降り。



こんな中バイクじゃ買いに行けねーからいつも鍵がつけっぱなしの軽トラで二人コンビニへと向かったのだが…。



車体が半分以上埋まる程の酷い水没を何度もクリアし命からがらコンビニにたどり着いたのはいいが、一端切ったエンジンが何故か全くかからなくなってしまったのだ。



何度もセルを回すがうんともすんともいわなくて。


ちなみに高校生の俺達に車の免許なんかない。



しかも春馬の親に無断で勝手に乗った。




「ど〜しよ、壊れたのかな〜っ」


普段めちゃめちゃ強気で喧嘩も強い春馬が弱々しくしゃがみ込んだ。


「ど〜しよ…」



もうコンビニの駐車場に一時間はいる。
雨も今更止んできた…。




俺は買ったばかりの煙草に火をつけて、バイク売るしかねーかなとか、バイトすっかな〜とか、それより今から春馬の親に詫び入れにいかなきゃな〜とか考えだした。

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