《MUMEI》

 







レンガ式の階段を数段のぼり正面玄関に足を踏み入れた。

校内は外観と同様、レトロなアンティーク調。壁には分銅の鐘の振り子時計が掛けられてある。

天井は高く、もう少し奥に入れば二階から一階のロビーを見下ろせる広々とした空間が待っていた。







ほんとにただの高校なのかと疑いたくなる……




例えるなら学校の校舎とゆうよりホテルとか芸術美術館と言われた方がしっくりくる。

そんな建築構造であった。











私はおずおずと校舎の雰囲気に押されながらも斎籐黒乃を確かめる為、事務室に向かった…―――――。

















――――――――コンコン、









「………はい。」










歩いて数分、事務室を発見。園原が小さな小窓をノックすれば、中から銀縁眼鏡をかけた50代半ばの男性が小さく返事をしながら小窓を開けた。













「あ、すみません。あの私、雑誌記者をしている園原 恵(メグミ)という者なんですが、…………実は少々お伺いしたい人物がこちらの高校にいるらしくて…」

「はい、」










いそいそと黒の鞄から名刺を取りだし男性に渡す。男性は眼鏡の縁をを触りながら目を凝らすようにそれを見た。
















「えーと、それで伺いたい人物とゆうのが……「斎籐黒乃ですか?」













驚いて「え?」と、聞き返した。



男性は名刺から顔を上げ真顔のまま此方を向き、「貴女の探している人物は、斎籐黒乃…でしょう?」まるで心を見透すように真っ直ぐと……













「………………ええ、でも…何で」

「わかったか?まぁ、これが最初ではないですからね。貴女のような方は今回で6人目です」

「ろく……ッ!?」

「はい。貴女同様の記者、それから小説家、評論家、ああ、大学の教授なんかも来ましたっけ……」

「で…、その方達は…」

「さあ?でも来るときと帰るときとじゃ顔色が違いましたからね。それから二度とは来ませんよ」

「………………………」












多分、何か

斎籐黒乃との間に何かがあったのだ。推測だが断言できた…。そうじゃなきゃ今頃斎籐黒乃とゆう人物は表沙汰になり今より知名度は高くなっている筈だもの……



考え込んでいる私に男性は、












「それでも面会なされますか?」と、質問してきた。






私は少し間を開けてから「はい」と、歯切れよく返事を返した。














 

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