《MUMEI》

顔もスタイルもいいのは分かる。しかし性別を越えてこいつはヤバい、こいつと付き合った女達は皆、嫉妬にかられて人が変わったみたいになる……らしい。
一度だけ、神林が女を振るところを見た。

『言いたいことって、それだけ?見かけと評判ばっかり気にして周りに流されて好きになるとか、お前みたいな中途半端に自信過剰なの俺は大嫌いなタイプ。絶対並んで歩けないわキモい。』

酷い、嫌なところをあえて言い放ちバッサリ切って泣かした。女の敵だ。

「……あ。二人は今日、ウチ来るよね?」

こいつ、まさか男が好きなのか?いや、付き合ってたのは女だったよな。
あんなオソロシイ言葉と甘い言葉を同じ口が紡いでいると思うとぞっとする、もしや二重人格か。

「今日は帰ります。」

よく言った、偉いぞ雪彦。

「駄目駄目、この間の持ち切れなかった分の服を持っていく約束したよね。」

「雪彦が行くなら絶対離れないからな。」

絶対に俺が雪彦を守る。

「安全なんだけどなあ。」

その胡散臭い笑顔、信用ならねえ。

「先輩の家のセキュリティ万全でしたもんね!」

その安全じゃないよ雪彦……!

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