《MUMEI》

「ちょっといい?」

「えっ、はあ…」


春馬はちょっと驚きながら運転席から降りた。


そして中沢は運転席に座った。


「えーちゃん知り合い?」

「…同じクラスの奴」

「ウヘッ!アホ高かよっ!」


「違うっ!阿房高だっ!」


確かにあんまり自慢出来る高校じゃねーが少なくとも春馬の高校よりはレベルは高い。しかし「あぼう」なんて校名のせいで地元じゃアホ高と呼ばれている。


「なー、水ん中でエンジンかけた?」


「いや、ここでエンジン切った後かかんなくなったんだよ」

春馬は運転席を覗き込みながら言った。


「…そっか、じゃあ治すから」


「「えっ?」」


中沢はエンジンをかけた。



カタタ…カタタ…



「ここまではいくんだけどな〜っ」


春馬はちょっと笑いを含ませながら言った。そして、どうせ駄目だろうって言いたげに俺を見てきた。

ブオンッ!


「うおっ!?」


ブオンブオンブオンブオンッ!!



中沢はアクセルをガンガン吹かせだした。

「なっ!何やってんだっ!?」



「ちょっとどいて!ここじゃ店に迷惑かかるから動かす!」

俺達はさっと後退する。
中沢は軽トラを少しバックさせ、ハンドルをきり、大型トラックが停まる方の駐車場に移動した。

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