《MUMEI》

「オオー!水だー!!」
不意に上がった叫びに、初めて無法者達は男の存在に気付いて、ぎょっとしたようにその新参者の事を注目した。
フード付きのマントを羽織った男は、
相変わらず自分の事意外には関心が無いと言った様子で、真っ直ぐ目的地へ向かって歩いて行く。
その行く手には、砂の中から水道管が
飛び出してくの字に折れ曲がり、再び
砂中に没っしている。
折れ曲がった部分の管が破れて、そこから水がチョロチョロと滴り落ちていた。
「ジーザスクライストーーーーーーっ
!!」 男は上向きながら両腕を広げると、ガックリと両膝を地面についた。
続いて男がした事はいささか見苦しい事に、四つん這いになって水道管の下へ
這い寄ると、顔を斜め上に向けて、滴り落ちる水を受け入れようと、顎が外れそうなほど大口を開く事だった。
ハンサムな顔が恥も外聞も無い行為の為に、滑稽で情けない顔になっている。

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