《MUMEI》

そしてまた、けたたましくエンジンを吹かせだした。


「こーゆう時はエンジン思いきり吹かせば大概戻るから」


「はあ…」


ただただ感心する春馬。

俺は黙ったままずっと中沢に見入ってるだけ。


同じクラスなのに全然話した事もない奴。
大人しい訳でもなく煩い訳でもなく、イイ奴っぽい訳でもなく嫌な奴って感じでもなく。


容姿普通。身長普通。普通過ぎて眼中にもなかった奴。


しかし今の中沢はなんかカッコ良くて…。

ハンドルに乗せた手が何だか妙に胸に響く。

太くて大きくてごつごつした手。

なんか妙に荒れていてきめが粗い。



軽トラはすっかり軽快に復活して、中沢は車から降りた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫