《MUMEI》 そしてまた、けたたましくエンジンを吹かせだした。 「こーゆう時はエンジン思いきり吹かせば大概戻るから」 「はあ…」 ただただ感心する春馬。 俺は黙ったままずっと中沢に見入ってるだけ。 同じクラスなのに全然話した事もない奴。 大人しい訳でもなく煩い訳でもなく、イイ奴っぽい訳でもなく嫌な奴って感じでもなく。 容姿普通。身長普通。普通過ぎて眼中にもなかった奴。 しかし今の中沢はなんかカッコ良くて…。 ハンドルに乗せた手が何だか妙に胸に響く。 太くて大きくてごつごつした手。 なんか妙に荒れていてきめが粗い。 軽トラはすっかり軽快に復活して、中沢は車から降りた。 前へ |次へ |
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